渇き
前に進んでいるはずなのに
心はどこかに置いてけぼりで
生きることだけで
精一杯だった頃から
空っぽのままの私が
当たり前になっていた
渇いた喉を潤したくて
勢いよく冷たい水を
飲んでも飲んでも
喉がカラカラに
渇いているような錯覚に陥り
何を飲んでも
喉の乾きがおさまらない
そんなことでさえ
私は自分を追い詰める
材料にした
力を入れすぎても
力が抜けすぎても
どちらも自分ではないようで
どんな自分が私なのか
私という輪郭をみつけるための
渇いてもいない喉を
潤すために水を飲んで
私の輪郭を見出す術にした
投げたら破裂する
水風船のように
私という輪郭が浮かび上がり
渇いていたのは喉ではなく
涙だったことを
思い知った遠い夏の日