ワタシの暮らしの忘備録

空と海の間で暮らした、私のこれまでイマココこれから

リニュアルオープン

夏日が続いましたが

今日は朝からにわか雨が降りました。

今年も農作物や果物への影響が

少ないことを祈るばかりです

f:id:sorahitoumi:20170531112716j:image

最近の息子は「新しい」という単語から

「リニュアルオープン」という単語を

私から引き出そうとすることが

日課となっています。

この「新しい」という単語は

昔利用していた施設が被災をし

新たに建て替えとなってしまいました。

彼は、自宅に戻ってきたら

その施設に入所するつもりだったようでした。

入所するにはまだ年齢が満たないことや

待たなければいけないこと

新しい建物が建ったら宿泊はできること

ただ、新しくなって開所するのは

来年になりいつオープンするのかは

まだわからないことなどを

彼に問いかけられる度に

言い方を変えたりするなど工夫して

伝えてきました。

何度目かの説明をする時

自閉っ子たちは案外

和製英語やカタカナ表記が好きだと

教えてもらったことがあり

CMでよく流れる「リニュアルオープン」

という単語を思い出したので

施設が〝リニュアルオープン〟することを

伝えてみたところ満面の笑みになり

その日から

「リニュアルオープン」という単語を

繰り返し毎日答えています。

他には、リニュアルオープンは

「新装開店」ともいうんだよとか

いろいろな言い回しで伝えています。

彼はリニュアルオープンするのが

とても待ちどおしいようで

何度かその施設が建つであろう場所を

確認したいということで

数回見に行きましたが

まだまだ建て替えのための工事は

始まっていません。

ですから、建物は1日で

建て替えられるものではないことなどを

伝えてたりしています。

今日の朝もリニュアルオープンするのかを

私に聞いてくるので

「あのね、地震があったでしょ。

地震でたくさんお家やお店が壊れたよね。

だから工事をする人が足りないから

みんな待ってるんだよ。

だから、まだいつになるのか

わからないんだよ。」

そんなことを伝えてみました。

黙って耳を澄ませ聞いてくれます。

果たしてどれくらい彼が理解できているのか

正直私にもわかりません。

ですが、今年の冬にこんなことがありました。

帰省時の車内で珍しくDVD をみようとするので

黙って様子を伺っていました。

その頃はジブリブームでしたので

クリスマスプレゼントに買った

風立ちぬ」のDVDを取り出し

早送りをし、とある場面で止めたのです。

その場面は、沢山の人が汽車に乗っていて

線路を走っているシーンでした。

汽車は目的地に向けて煙を出し走っていると

突然大地震に見舞われるシーンでした。

そして、その場面になった時

彼は画面を指差し

地震

と私に伝えてきました。

それを聞いて私はすぐ

「そうだね。地震だね。

熊本も地震があったよね。

だから、道路が壊れてたり、

お家も壊れてたでしょ。

地震で壊れたんだよ」

そう伝えてみたら、ニコっと笑い

その後DVDはみなくなってしまいました。

その「地震」という単語はおそらく

この日まで彼の中で

ただのフォントだったのだと思います。

地震後すぐになるだけ酷い状況の

被害の大きかった益城町

阿蘇方面の被災地周辺を

隠さずみせるようにしてきました。

通れなくなった道路を確認することもしました

そうしたこととジブリ作品にあった場面と

ぼんやりとしていた「地震」という

言葉の意味がようやく彼の中で

繋がったのだと思います。

こういった小さなことを大切にしてきました。

それは、私が尊敬する母さんたちのおかげです。

だから我が家では、

全部言葉で話すようにしています。

彼が興味あること、知りたいことは

なるだけ言葉で伝えることにしています。

視覚的に伝えることもありますが

なるだけ、普段の会話は

言葉で普通に伝えるよう心がけています。

そういったやりとりで

彼は1日1日自分の中で

言葉を蓄えたりしているのかも

しれません。

重度の人は内面がないなんて

絶対そんなことはありません。

それは、関わる人たちの

「察する力」がか細いからなのだと思います。